CDも納品されて、本も校了して、いよいよあとは「本ができたらCDを貼る」という【 内 職 作 業 】を残すのみとなったトレビュシェット編集担当のozakiです。
今回はCDに楽曲提供をいただいた、関 美奈子さん(DIGITAL SONIC DESIGN)にインタビューをしてみました!
■経緯というか、裏話
中村さんから「今度の本で、作曲をお願いできる人がいるんけど〜」と言われてお名前を聞いたとき、「なんだって!? 著名な一流作曲家やんけ! Σ(・ω・)」と驚きました。それが今年(2011年)の1月のこと。
本のコンセプトや台割(本の設計図)をご覧いただき、内容にご賛同いただくことができました。その後、各城のエピソードのプロットをお送りし、デモ音源がアップされたのが6月なかば。
そのときのクオリティでも「すごい!」と思った物ですが、そこからさらにブラッシュアップされた完成版が登場した7月上旬、午前4時頃にその音源をチェックしたわたしは、椅子から立ち上がるほどのクオリティの高さに驚きました。
よりきらびやかさが増した楽器群のサウンド……
男声と女声を物語に合わせて巧みに使い分けている壮大な合唱……
そしてかけめぐるパーカッション……
風景が目に見える音楽です。ぜひお楽しみに!
さてさて、わたしのコメントはこれくらいにしまして、関さんにインタビューのお時間をいただきました。 さっそくお話を伺ってみたいと思います。
■きっかけは中村さんのWeb日記
——このサークル(トレビュシェット)のコアメンバーの1人、写真家・中村ユタカさんとはどのようなきっかけでお知り合いになったのでしょうか。
関 ゲームエンターテイメントコミュニティサイト、ゲームの話題を中心とするSNSとでもいいますか、そういうサイトに登録をしていたんですが、そこで既に交流していた方が、「すごく面白い日記を書く人がいるから是非見に行ってください」と自分の日記に書いていたんですね。
そして早速日記(※)を拝見したんですが、写真の素晴らしさはさることながら、内容にもやられましたね。 中村さんのインタビューをご覧頂ければだいたいどのような内容が書いてあったか、ご想像できると思います。。。
(写真は「地獄の釜」の音を聞く関さん)
※中村さんの日記:ほぼ同じ内容の日記はこちらでも読むことができます
■「古城」は大好物
——なるほど! 中村さんの日記は各方面で(いろんな意味で)好評ですよね(笑)
「そんな」と言ったら失礼かもしれませんが(笑)、そんな中村さんが撮った今回の3つの城の写真をご覧になって、どのようなインスピレーションを受けましたか?
関 このプロジェクトで一番最初にいただいた資料が写真群でした。一つの城につき、城、関連物が写っているものが50~70枚くらいでしたか。とにかく大量でびっくりしたのを覚えています(笑)
今回は仕事のようにメニュー(※)があるわけでなく、こういう風な曲にして欲しいという指示も全く無かったので、例えば決まった一枚の絵であればそこからいろいろ想像を膨らませる形をとったかもしれませんが、大量にいただきましたので写真からはざっと見渡して選ばれているモチーフやその関連性、色合いなどを確認するにとどまりました。
※「メニュー」音楽制作の仕事における、「音楽の内容や仕様についてのリスト」などのこと。
——そう言えば中村さんが「とりあえず全部送ったよ(エッヘン)」みたいなことを仰ってました(笑)数ギガバイト近いデータなのに……すいませんでした!(笑) ヨーロッパの古城という題材についてはいかがですか?
関 城、および今回のプロジェクトに関連する題材については、お話をいただいた時点で自分の大好物だとわかっていたので、方向性はあまり悩みませんでした。
■プロットからキーワードを抽出
イメージを膨らませて作曲
——今回のCDでは、イントロダクション1曲と、各城の物語にかんする小説のプロットを事前にご覧いただきました。
小説の内容もイメージした音楽になったのでしょうか?
印象に残ったとか想像力が刺激され場面などがあれば教えてください。
関 小説のプロットは一度だけ読みました。何故一度だけかというと、あまり読み込んで内容に引きずられすぎるのもよくないと思ったからです。
じっくり読みこむ場合もあるのですが、今回は写真、イラスト、小説、音楽、とうっすら関連しているものではあるけれど、どれかに完全に付随しているわけではない形にしたかったからです。
中村さん以外のクリエーターさんと面識はありませんでしたし、作業も全く別々に進んでいましたので、同じ絵を見ながら全く別々の想像を膨らませている並行世界みたいな方がおもしろいかなと。
ですので、小説は一度だけ読み、その代わりにキーワードを書き出しました。例えばアンボワーズ城(レオナルド・ダ・ヴィンチとフランソワ一世)ですと「知性、孤高、積み重ねた歳月、、、、」のように思いついた単語をだらだら書き出し、その単語からのイメージで制作していったという感じです。
マスターアップしたあとに小説は改めてちゃんと読ませていただきました。
(写真はスタジオの関さん。手にしているのは「オタ○トーン」)
——なるほど! プロットからキーワードを抽出して、そこからイメージを膨らませていったのですね。
■現在と過去。時間軸を音楽で表現
——今回の作品の音楽づくりでは、普段はあまりやらない実験的要素なども盛り込んでみたのでしょうか?
たとえば、普段のお仕事でのやり方ではあまり使わないような作り方をしてみたとか、今回チャレンジしてみた内容とか……
関 実験的要素・・・どうでしょう!?(笑)
今回は、とにかくも「好きに作ってください!!」と心強いお言葉をいただいたので、「好きに作りました!!(`・ω・´)」としか言えないのですが、それで終わっちゃうのもアレですよね(汗)
普段は、映像やシナリオありきの制作がほとんどなので、その題材に付随する形で、あ~ここから哀しくしちゃうと音楽が先に語っちゃって興ざめだよなぁもう少し後ろだよなぁ、とか、楽しいんだけど過程や心情としてこういうものがあって楽しいだけじゃないよなぁ・・・みたいな感じで時間軸を考えていくのですが、今回は、写真が【現在の姿】、イラストが【過去の姿】ということで、その間を自由にいったりきたりする時間軸を音楽で表現できたらなぁと思いながら作っていきました。
時間軸という横軸だけでなく、音色の配置(奥行きなど)もある音を基準に聞いていると背景が表になったり、逆に表が背景になったり、ちょっとした騙し絵のような感覚といいますか、小さいことですがそんなことも仕込んでいたりします。
■五感に訴えかける本!
——そうした感覚をぜひ音楽を聞いて楽しんでいただきたいですね。
この本は8月14日(日)、コミケット(西ホール「み」32b)でデビューします。最後にこの本の読者へメッセージをお願いします。
関 五感に訴えかけるのですよ、この本は!!
・・・と言えたら格好いいのですが、触覚、味覚、嗅覚が残念ながら無い、と思っていたところ、このデータでほとんどが事足りる時代にわざわざ敢えてB4版(広げるとB3!)というところ、この大きさは昔の映画やコンサートのパンフレットではおなじみな大きさなのですよね。
そんなところを触覚に無理矢理こじつけつつ・・・、あとの二つは美味しいお茶やお菓子でも召し上がりながらお読みいただければと思います。
それと、このブログの記事「名前の由来は」をご一読下されば幸いです。 そういうことをしたかったんだと思います。そして、その機会をくれたTrebuchetのコアメンバーに深く感謝いたします。
「ロワール河の城」、どうぞ宜しくお願いいたします。
——ありがとうございました!
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